ダチョウ抗体とは

ダチョウ抗体のチカラ

ダチョウ抗体の
チカラ
OSTRICH

  • そもそも「ダチョウ抗体」とは

    ダチョウは地球に現存する最大の鳥類で体長は2.5m、体重は160kgにまで達します。 あまりの大きさと重さに空を飛ぶことはできませんが、太くて長い足を使って時速60kmもの速さで30分以上も走ることができ、寿命はおよそ60年。 怪我や病気に対しても驚くべき生命力を発揮する鳥です。
    「ダチョウ抗体」は、このダチョウの体に抗原(病原性のウイルスや細菌、花粉などの生体に免疫応答を引き起こす物質)を投与することで、ダチョウの体内で生成される抗体のことを指します。 京都府立大学の塚本康浩教授によって見いだされ、これまで主にマウスやウサギなどの小動物で作製されていた抗体よりも、生産コスト、効能といった面で極めて優れた特性を持つことがわかり、世界的にも大きな注目を集めるようになりました。

  • 「ダチョウ抗体」ができるまで

    抗体は体の外に取り出してもその働きが失われることがないことに加え、親から子へと血のつながりや母乳を通して受け継がれます。 ダチョウの場合なら、メスの体内に抗体を作らせることができれば、その卵にも抗体が含まれているというわけです。
    その抽出までの仕組みは下図の通り。 まず、無害化した抗原をメスのダチョウの体内に注射します。 すると、注射されたダチョウの体内ではリンパ球の一種であるB細胞により抗体が作られます。 繁殖時期のメスのダチョウは卵も守らねばならないので、抗体を卵の中にも送り込みますが、このとき受精させなければ“抗体が蓄積された無精卵”を産卵します。 この無精卵から特殊な器具を使って卵黄を取り出し、遠心分離機で繰り返し精製して「ダチョウ抗体」を抽出します。

    無害化した抗原を投与~無精卵から抗体を抽出
  • ダチョウの驚くべき「免疫力」

    一般に鳥は怪我や病気に弱いものですが、ダチョウほど丈夫な生き物はめったに存在しません。京都府立大学が管理する飼育場でも、血まみれになるほどの怪我を負ったダチョウの傷がわずか数日ですっかりふさがり、一カ月後には新しい皮膚を再生させている姿がよく観察されています。
    こうした怪我に対する回復力だけでなく、ダチョウは免疫力という点でも極めて優秀です。これまで人間が異物として感じにくく抗体を作り出せないような物質は、同じ哺乳類のマウスやウサギでもうまく作れないため、多くのものがあきらめられていました。ところがダチョウは、人間の体が受け入れてしまう抗原であろうと、体内に入るやすぐに異物と認め、大量の抗体を産生します。
    こうしたことから、ダチョウ抗体は新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス以外に、花粉症や皮膚炎などを引き起こす様々なアレルギー物質にも効果を発揮することができるのです。

    ダチョウとウイルス
  • 量産に適した大きな「卵」

    繁殖力旺盛なダチョウは年に80個もの卵を産みますが、驚くべきはその大きさです。縦の長さは約16cm、横の長さは約13cm、そして重さは1.3〜1.6kgもあり、これはニワトリの卵のおよそ25倍もの大きさで、現在地球上に生存する生物の卵としては最大のものです。
    もちろん抗体は卵だけでなく血液からも抽出できますが、そうすると生きているダチョウを採血のために傷つけることになってしまいます。一頭のメスのダチョウから繰り返し採取できる、堅い殻に守られたこの「卵」という状態で管理できることが、マスクをはじめとした工業製品の原材料としての安定供給に一役買っているのです。
    ちなみにこの卵1個から抽出できる抗体の量はおおむね4グラムですが、そこから約8万枚ものダチョウ抗体マスクを作ることが可能です。

    鶏の卵とダチョウの卵比較
    ダチョウの卵の中
  • 「ダチョウ抗体マスク」ができるまで

    1.抗体フィルター
    2.抗体マスクの成型加工
    3.全数検品と包装・出荷

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